JWHN : Japan Women’s History Network

研究会

第31回 イギリス女性史研究会ご案内

漸く秋らしい過ごしやすい気候になりましたが、会員の皆様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

さて、イギリス女性史研究会では、第 31 回研究会を 12 月8日(土)に甲南大学東京ネットワークキャンパスにて開催いたします。今回は、自由論題報告ということで八谷舞氏と金 慧昇氏のフレッシュなお二方にご報告いただくことになりました。

また、研究会の前には総会も予定しております。皆さまご多忙のこととは存じますが、ぜひともご参加くださいますよう、お願い申し上げます。プログラムなどは以下の通りとなっております。

 

【重要】 会場のセキュリティーの関係で、事前にお申込みいただくことになっております。
会員のみなさまには、「11月28日(水) 」までに、「研究会のご参加」と「懇親会のご出席」共に、下の URL からお申し込みください。

https://jwhn.org/study/form.html

※ イギリス女性史研究会では、子育て中の研究者を応援しています。赤ちゃん連れの参加にも、ご理解をお願いします。

 

◆◆イギリス女性史研究会総会および第 31 回研究会  自由論題報告◆◆

■日時  12 月 8日(土)   13 時 30 分~ 17 時 30 分 (13時受付開始)

■場所 甲南大学東京ネットワークキャンパス (東京駅八重洲北口改札口から徒歩 2 分)
   〒 100-0005 東京都千代田区丸の内 1 丁目 7-12  サピアタワー10 F  
★エスカレーター3階の受付で入館証を受け取ってから、エレベーターで10階にいらしてください。
http://www.konan-u.ac.jp/tokyo/access/

■スケジュール

13:00 ~    受付開始(3階受付カウンター)
13:30 ~ 14:15 総会 
14:15 ~ 14:30 休憩
14:30 ~ 15:10 報告① 金慧昇(東京大学)
    「広がるネットワーク、広がるイデオロギー 
    ―19世紀半ば「女性衛生協会」の活動について―」
     司会 永島剛 (専修大学) 
15:10 ~ 15:40  質疑応答
15:40 ~ 16:00  休憩
16:00 ~ 16:40 報告② 八谷 舞 (学振)
    「19~20世紀転換期アイルランドにおける女子校文芸部の活動」
     司会 香川せつ子(西九州大学)
16:40 ~ 17:10 質疑応答
18:00 ~ 20:00 懇親会

―――お知らせ―――

イギリス女性史研究会では、乳幼児期のお子さんを抱えた「子連れ研究会」を支援しています。前回の研究会と同様、今回もスカイプ経由で会場の発表を聴くことができるサテライト小会場と、授乳室として利用できる別室を確保いたしますので、どうぞご利用ください。なお、サテライト会場のご利用を希望される場合には、あらかじめ本会事務局までご連絡いただけると、当日のご案内がスムースになります。 (事務局アドレス:jwhn_adm@yahoo.co.jp)

■懇親会

12月8日(土)  18:00 ~ 20:00
会費 一般 5000 円、院生 4000 円 (予定)
会場 未定

≪会からのお願い≫
私たちの活動は会員の皆様方の会費と寄付に支えられております。
 おかげさまで、会誌『女性とジェンダーの歴史』も第5号を刊行いたしました。しかし、研究会の活動をさらに強化していくためには、皆様のお力添えが必要です。引き続き 会員継続と会費の納入 をお願い申し上げます。
 年会費は下記の通りです。
    一般会員:3000円 /院生:2000円

【報告①】 金 慧昇 東京大学大学院 経済学研究科 博士課程

タイトル: 広がるネットワーク、広がるイデオロギー
―19世紀半ば「女性衛生協会」の活動について―

[要旨]

本研究の目的は,1857年に設立された「女性衛生協会(Ladies’ Sanitary Association)」の活動に注目し当協会の性格を明らかにすることである.「女性衛生協会」は,「あらゆる階級に衛生に関する知識を拡散させるために」,出版物の刊行や講義などの活動を行っていた中産階級女性中心の団体であった.当協会の設立の背景には,19世紀半ばのイギリスにおける都市衛生問題の深刻化,そして中産階級女性の社会的活動の増加,という状況があった.1842年のチャドウィックの『イギリス労働者階級の衛生状態に関する報告書』や1848年の公衆衛生法の制定には,都市化の進展とともに深刻化していた衛生問題に関する認識が反映されている.また,19世紀前半は,中産階級の成長とともにイギリス社会において中産階級の価値観が拡散していった時期であり,その中で中産階級の女性たちは,自らだけではなく労働者階級家庭の問題にも関心を持ち,女性の雇用問題をはじめ様々な「女性問題」に対する認識を共有していった.そのような問題認識を共有した女性たちの集まりであった「ランガム・プレイス・グループ(サークル)」は,「女性衛生協会」の設立にも密接に関わっていた.

中産階級の女性たちは,慈善活動をはじめ労働者階級の女性たちと個人的に交流するような活動を続けていった.本研究では,とくに「女性衛生協会」の活動に着目し,当協会が女性運動においていかなる意味を持っていたかを分析する.結論から言うと,階級を超えた女性たちの連帯形成の初期段階の活動としての性格を持つと同時に,当時中産階級の価値観であった性別分業の考え方を労働者階級に普及・拡散させたという性格も持っていたのである.当協会は,労働者家庭の衛生水準を向上させることを目指し,各家庭を訪問し石鹸や衛生知識に関する書物を配布するような活動をしていた.その主体となっていたのが,主に中産階級からなる女性たちであり,主に労働者階級の女性を対象として家庭における衛生に関する教育を行っていた.その中でとくに重要視されていたのが,当時問題となっていた乳児死亡率の減少であり,そのために母親である女性の役割が強調されるようになったのである.さらに,細菌理論研究の発展も,家事や育児の重要性を指摘し女性の負担を加重していた.

そこで,本研究では当時「女性衛生協会」が刊行していた小冊子シリーズ(Tract Series)や,マンチェスター衛生協会(Manchester and Salford Sanitary Association)報告書、新聞記事などを用い当協会の活動を検討し,その性格を明らかにすることを試みる.つまり,当協会の活動が,女性運動の基盤となる女性間のネットワーク形成に寄与した一方,矛盾的にも,女性運動の障害となる家父長制の性別分業のイデオロギーの強化にも寄与したという両面的な性格を持っていたことを指摘する.

【報告②】八谷 舞 京都大学人文科学研究所(日本学術振興会特別研究員PD)

タイトル:19~20世紀転換期アイルランドにおける女子校文芸部の活動

[要旨]

アイルランドにおいて,19~20世紀転換期は女子高等教育における大きな転換点である。1866年にプロテスタント系のAlexandra Collegeが開校し,アイルランドの女子校では初めて学位授与の方針を明確にして大きな人気を博したことは,それまでフィニッシング・スクール的な教育しか施してこなかったカトリック系の各校に危機感を与えた。その結果,Alexandra Collegeに続いていくつかの学校が進学校化するに至り,女子高等教育の水準を大きく高めた。こうした学校において,文芸部(literary society)は課外活動の中核として重要な役割を果たし,学校から専用の図書室を与えられるなど特別な待遇を施された。また活動には卒業生も参加できたため,在校生と卒業生との交流の場ともなった。

先行研究は女子高等教育の制度的な改善については大きく取り上げてきた一方で,こうした課外活動については看過してきた。しかし,大学進学や学位取得が可能になってもなお,それらを実現する女性は少数に過ぎなかったことに留意すれば,従来の研究が示してきたものは非常に一面的である。これらの課題を踏まえ,本報告ではプロテスタント系とカトリック系の女子校における文芸部の活動を分析し,いわば教育制度の枠外にあった活動が在校生および卒業生にとってどのような意義を持ったかについて考察する。

文芸部の活動には綿密な準備と予習が必要とされ,その要求水準は高かった。高等教育を受けた女性にとって,活動への参加は知的好奇心を満たし,社会参加をする貴重な機会であったと考えられる。また,遠方に居住しているために参加が難しい卒業生のためには,通信教育の形をとるReading Unionが組織されることもあった。つまり文芸部の活動は,特に卒業生にとって,自己実現および生涯教育の役割を果たしていたと考えられる。

また,文芸部の活動は文学を主題としたものに限らず,時には政治討論なども行われた。部員は小論文を書くことも奨励され,佳作は校誌などに掲載された。これらの論文の中には進歩的な思想が見られるものが散見されるが,禁止や制限の記録は見られない。さらに,指導者の中には男性も名を連ねていたが,彼らが活動内容に容喙した形跡は見られない。少なくとも文芸部の活動においては,女性はある程度自由な裁量によって楽しむことができたのではないかと推察される。

以上に示してきた通り,19~20世紀転換期アイルランドにおける女子校文芸部の活動に着目することによって,先行研究を補完しつつ,新しい視座を築くことが可能になると考えられる。

以上

PAGETOP
Copyright © イギリス女性史研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.