JWHN : Japan Women’s History Network

研究会

イギリス女性史研究会 第40回研究会のご案内

会員の皆さま
 
空が澄み渡り爽やかな季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
12月16日(土)に開催されますイギリス女性史研究会の第40回研究会のお知らせです。
 
今回は「近代イギリスにおける性教育と女性」と題して、シンポジウムを開催いたします。3名の報告者から、18世紀後半、ヴィクトリア朝時代中期、後期それぞれの時代における性教育の様相についてご紹介いただきます。
 
この度も対面とオンラインのハイブリッド開催の予定でございます。参加をご希望の方は、下記のURLよりお申し込みをお願いいたします。
また研究会の後には懇親会もございます。
会場またはオンラインで、皆様とお会いできますことを楽しみにしております。
 
【重要】 会場準備の都合がありますので、ご参加の方は事前に対面での参加かオンラインでのご参加を明記のうえお申込みください。お申込みいただいた会員のみなさまには、対面参加予定の方も含めまして、zoomの招待メールをお送りいたします。準備の都合上、「12月9日(土)」までに「研究会のご参加」につきまして、下の URL からお申し込みください。
 
 
なお、懇親会は「11月末日」をお申込み期限とさせていただきますが、席に限りがございますので、お早めにお申し込みください。
 
  ※≪会からのお願い≫ 
私たちの活動は会員の皆様方の会費と寄付に支えられております。 
おかげさまで、会誌『女性とジェンダーの歴史』も第10号を刊行いたしました。しかし、研究会の活動をさらに強化していくためには、皆様のお力添えが必要です。引き続き 会員継続と会費の納入 をお願い申し上げます。 
年会費は下記の通りです。 
一般会員:3000円 /院生:2000円
 
 

第40回イギリス女性史研究会

 
日時:2023年12月16日(土)午後13:00~17:30
 
場所:立教大学池袋キャンパス 12号館地下、第1・第2会議室&ZOOM
 
立教大学マップ
※非会員の会場参加者には資料代として500円お支払いいただきます。
 
懇親会: 18時~20時 
 
(プレゴ・パケット https://www.facebook.com/ChiDaipuregopaketto )
 会費:有職者6000円程度、学生3000円程度
 

シンポジウム 近代イギリスにおける性教育と女性

 
13:00 開会
       趣旨説明 川津雅江 (名古屋経済大学)
 
13:10~  「生殖と自慰をめぐる性教育―ウルストンクラフトと(似非)科学的言説」
       川津雅江(名古屋経済大学)
 
13:50~ 「セクシュアリティのゆくえ――ディケンズと「堕ちた女」の教育」
       新野 緑(ノートルダム清心女子大学)
 
 
14:30~ 「清く、正しく――社会浄化運動における男性像の再構築と性教育」
      市川千恵子(奈良女子大学)
 
15:30~ コメント1 吉田直希 (成城大学)
 
15:50~ コメント2 田村俊行 (立教大学)
 
16:30~ 全体討論
 
18:00  懇親会  プレゴ・パケット (PregoPacchetto)
 
 

近代イギリスにおける性教育と女性

 
 性の健康世界学会が1999年や2005年に提言した「性の権利」や「性の健康」宣言において、性教育はグローバルに取り組む課題の一つになっている。性教育には、性知識、身体の仕組み、妊娠と出産、避妊、家族計画、育児、性道徳、身体的・精神的健康、性感染症の予防など、さまざまな内容が含まれている。イギリスでは、19世紀後期に男子寄宿学校アボッツホルム・スクールが初めて性教育をカリキュラムに含めたが、学校を基盤とした性教育が広がったのは第二次世界大戦後である。それでは、20世紀以前には、性教育は具体的にどのような形で行われ、どのような内容を含んでいたのだろうか。本共同発表では、現代的な性教育の萌芽的考えが垣間見られる近代フェミニズム思想が誕生した18世紀後期、そして女性が性や身体について語ることは慎みがないと見なされた一方、売春婦の増加が社会問題化し、公衆衛生意識が高まったヴィクトリア朝時代を中期と後期に分けて、三人の報告者がそれぞれの時代を担当し、各時代における性教育の一様相を明らかにする。(川津雅江)
 
1. 生殖と自慰をめぐる性教育―ウルストンクラフトと(似非)科学的言説
 
川津雅江 (名古屋経済大学名誉教授)
 
 ウルストンクラフトは、子どもたちに生殖に関する知識を授けることの重要性を説くとともに、自慰の自制を厳しく奨励した。18世紀後期には、ウルストンクラフトが念頭においているリンネ式植物学書だけではなく、1684年の出版以来版を重ねた『アリストテレスの最高傑作』、サミュエル・ソロモンの『健康の手引き』(1785)やマーサ・ミヤーズの『自然の教え子』(1797)のようなメディカル・アドバイスブックなど、性や生殖に関する(似非)科学的知識の情報に溢れていた。本報告では、これらのテクストにおける生殖と自慰の言説の視点から、ウルストンクラフトの性教育観を再考してみたい。
 
2. セクシュアリティのゆくえ――ディケンズと「堕ちた女」の教育
 
新野 緑(ノートルダム清心女子大学教授)
 
 ディケンズは慈善家アンジェラ・バーデット=クーツの要請で、「堕ちた女」の更生施設ユーレイニア・コテッジの運営を1847年から1858年まで担った。入居者が海外で召使や妻となって社会復帰することを目指したディケンズは、理想の教育体制とそれがもたらす現実との齟齬に直面する。その経験は、果たして彼の作品にいかなる影響を与えたのか。ディケンズ小説における「堕ちた女」の表象を、彼が施設の運営に関わった『ドンビー父子』から『リトル・ドリット』に至る作品を中心に、とりわけそのセクシュアリティとの関わりに注目して考えたい。
 
3. 清く、正しく――社会浄化運動における男性像の再構築と性教育
 
市川千恵子(奈良女子大学教授)
 
 19世紀後半の社会浄化運動の主導的存在として知られるエリス・ホプキンズ (1836–1904)は、性の二重規範の是正を訴えるパンフレットにくわえて、詩集、小説、伝記作品、そして性教育のマニュアルも執筆している。本報告では、子どもの性教育のために書かれた『女性の力』(1899)と『生命の物語』(1902)を取り上げる。この二作品は男の子が思春期を迎える前に性的清潔さの意義を母親が説く際の指南書であるが、率直な性的表現ゆえに、貸本屋では取り扱いを拒否されてしまった。女性がいかに性について語り、理想の男性像を再構築するのかを考察したい。
 
 

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