本会では、乳幼児期のお子さんを抱えた「子連れ研究会」を支援しています。第29回研究会の様子についてはこちら
第30回イギリス女性史研究会
「 イギリス女性参政権実現100周年記念シンポジウム
女性と市民権――国策を越えて」
【趣旨】
イギリス女性参政権運動は、日本におけるイギリス女性史研究のごく初期から注目され、思想史として、政治史として、あるいは経済史としての観点から論じられたテーマである。そしてそれらの研究が、次の世代の女性史・ジェンダー史研究家を育ててきた。イギリスで女性参政権が実現して100周年を迎え、イギリス女性史研究会にとっても30回目という節目の回となった今大会では、こうした日本でのイギリス女性参政権運動研究の歩みを振り返りながら、従来の研究が手薄であった第一次世界大戦勃発後の世界へと目を転じていきたい。
20世紀初頭のイギリスにおける女性参政権団体は、穏健派NUWSSと戦闘的なWSPUの二派に大きく分かれていたが、第一次世界大戦が始まると、それまで政府を悩ませていた両派が共に戦争遂行という国策に協力したということがよく知られている。戦前にアメリカ・ヨーロッパを中心に活発化していた国際的な参政権運動の広がりもまた、大戦の勃発により、分断をよぎなくされた。一方、大戦はヨーロッパの隣、トルコにおいて体制の転換を引き起こし、やがて中東初となる女性参政権の実現につながった。イギリス史の教科書では空白部分となってきたこの時期の女性と市民権をめぐる歴史を、「国策」をキーワードに3名の報告者が論じていく。
司会 山口みどり(大東文化大学)
報告1 河村貞枝(京都府立大学名誉教授)「イギリス女性参政権運動史、研究のこしかた行末(ゆくすえ):国際的運動の形成と展開」
報告2 宇野陽子(東京大学東洋文化研究所)「トルコの女性参政権」
報告3 佐藤繭香(麗澤大学)「第一次世界大戦中の女性参政権運動: WSPUの活動を中心に」
コメント 金澤周作(京都大学)
※2018年には、他の研究会でもイギリス女性参政権実現100周年を記念した催しが計画されています。日本ヴィクトリア朝文化研究学会でも11月の大会において「女性参政権獲得への希求(仮)」と題し、女性参政権100周年を記念するラウンドテーブルが企画されており、当研究会会員の市川千恵子氏、佐藤繭香氏、山口みどり氏が、JWHNとは違った角度から女性参政権問題を論じます。